2008年6月12日木曜日

和田君

先週の土曜、和田君に会った。
会ったといっても、彼のバイトしている店でたまたま食事した、という事なのだが。
背が低く痩せた小さな和田君は、話し方も舌が少し短いのか舌ったらずに話すので、まだ中学生のようにも見える。

「良かったですね!」満面の笑顔で彼はそう言った。
その笑顔が浮かんだ。可愛くて、真面目そうで好感が持てた。

店の手洗い場で袖についた赤ワインを落としている私に、和田君は「大丈夫ですか?」と声を掛けてきた。これは普通の対応であろう。私も大丈夫です、そんな軽い返事を返したように思う。彼は私の顔を見ずにわかりましたぁ、という感じで店の奥に消えたのだが、少したって「良かったら、これ使って下さい」と粉の洗濯洗剤を持って来たのだった。

「手洗い用の洗剤で軽く落ちました。ありがとうございます」と言うと、満面の笑みで
「良かったですね!」と嬉しそうだった。

洗剤を持っていって使ってもらおう、という判断を彼がしたのか、そういうマニュアルなのかはわからない。ただ、この予期せぬサービスに顧客は『とても良い店』と判を押すのではないかと思う。
サプライズの感動が固定客を作る、という図式ではなかろうか。
他の店に行って同じシチュエーションだったとしても、こうした機転が利いた対応に出会えるとも限らないのだから。ましてや、こうして欲しい、と顧客が望むサービスをしていても顧客にとってはまったくありがたくもない、当たり前なのだから。

和田君はサービスに不慣れ、学生らしいある意味のドン臭さと笑顔が可愛らしいのだ。
そして、そのお客様が喜んでくれるための行動が素晴らしい。

人に「ありがとう」と言ってもらえるサービスを提供する会社に
私の会社の理念でもある。
和田君のような心根の優しいスタッフに出会いたいものだ。

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